スギノイチ

十七人の忍者のスギノイチのレビュー・感想・評価

十七人の忍者(1963年製作の映画)
3.5
明らかに体を外れて飛んできた槍を真上に避けるとか、槍が刺さる瞬間だけ人形に切り替わっているのがバレバレな撮影とか、古い映画なんだし突っ込み所はある。
それを差し引いても、知略や技能を駆使した戦いが面白い。
取り囲まれた大友柳太朗が、天井に潜む忍者に無表情のまま極力の小声で命令したり、敵もその唇の動きを読んだり、双方がプロフェッショナルである事が表れたシビアな戦いに興奮する。

敵役となる近衛十四郎はかなりの凄腕で、大友柳太朗の策謀と互角に渡り合い忍者達を次々と殺していく。
だが、彼もまた使い捨て忍者であり、味方の筈の駿府城の重役達からネチネチ嫌味を言われながら、たった1人で根来忍法の格を上げようと奮闘する。
冷静沈着で感情を表に出さない大友柳太郎に比べ、敵役の筈の近衛十四郎の方が感情表現豊かで憎めない。
大友柳太郎に言葉責めされ、ついつい心情を吐露してしまう所なんかはもらい泣きしそうになった。
勧善懲悪ではない忍者モノならではのシーンだ。
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