カズミ

塔の上のラプンツェルのカズミのネタバレレビュー・内容・結末

塔の上のラプンツェル(2010年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

好きすぎて学生時代、語学教材として使い倒していたので、もはや初見の新鮮な気持ちなどとうに忘れてしまったが、何度見直してもワクワクさせられる。

好奇心旺盛で、底抜けに明るいラプンツェルも純粋でキザなユージーンも、愛らしいパスカルちゃんも大好きだが、個人的にはゴーテルさんがヴィランの中でもトップクラスに好き。
“フラワー”呼びなところを見ても、確かにラプンツェルのことは美容要員としてしか見ていないし、気にしているのはいつも髪の毛のことばかりだけれど、利用するだけなら最初から酷い扱いをしてもおかしくないのに、ちゃんと自分の子として可愛がっていたのがわかる。誕生日に、三日かかる町までわざわざプレゼントを買いに行ってあげるなんて。
ラプンツェルが本当の母であるお妃様の癖だけでなく、ゴーテルの頭を抱える癖を譲り受けているところ見ると、「あぁ、彼女にとってはずっと“お母さん”だったのだなあ」と感じてちょっぴり切ない。
最後にヴィランが退治される系の作品はあまり好きではないけれど、彼女の場合は塔から落ちる途中で灰になっているから、もうとっくに寿命は迎えていたのだろうと推察できるし、ラプンツェルが一瞬止めに入ろうと試みているからまだセーフ。
勝手な憶測だが、彼女は“死ぬこと”よりも“老いること”に恐怖を感じて魔法を使っていたのではあるまいか。「外は怖いところだから、ここにいれば安全」というのは、単にラプンツェルを閉じ込めるための発言ではなく、過去についた傷ゆえの本心、とは考えられないだろうか。

ここまでくるとラプンツェルの感想を書いているのかゴーテルの感想を書いているのかわからなくなってきたが、今回また見直したことで、ユージーンのポジションは原作では王子だが、庶民のラプンツェルをプリンセスに改変した釣り合いを取るために彼女の両親の盗人設定を彼に応用したのだろうか? その上のユーモアで、白馬に乗った盗賊様にしたのか? などと、新たな見方をくれたりと、何度でもときめける魅力的な作品です。

余談だが、初見のとき両親がユージーン救済のシーンで言い放った「治してもらってから切ればいいじゃん」という言葉を当時は、なんて情緒もへったくれもないことを言うんだ、と思っていたが、今改めて見ると本当にその通り過ぎて笑いが止まらない。歳を重ねすぎた気がする。
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