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愛の渇きのtosyamのネタバレレビュー・内容・結末

愛の渇き(1967年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

三島作品の映画化。いかにもそれ風なセレブ一族もの。みごとに。庭園映画。廃園映画。している。冒頭のヘリコプターからの空撮がそのことを証明している。庭園映画として捉えればこの空撮シーン唐突なシーンではない。けれど。やはり。印象は強烈である。強烈に世にも奇妙な。庭園映画廃園映画であることを印象づける。全盛期の手入れされ尽くした美しいディズニーランドのような西洋庭園の面影を失い。山間と敷地の区別も失われるほど木々は繁り。花々の温室も壊れ。物置小屋と化し。ナニモカモが廃墟化し始めている。使用人の作男も若いひとりだけになってしまっている。ゴシックミステリーの舞台のようにみえるがアルジもヒロインも犬神家の一族ほどの宿命的苦悩はない。それより屋敷庭園の方が。特に庭園がイキモノのように悶え息づいていて震える舌っぽい。荒らされた自然が感染症菌で人類に逆襲しようとしている。屋敷から数百メートル歩くだけで宅地造成の為の舗装道路と護岸工事の壁。工場地帯のような人工的な冷たさ。それは。あたかも汚染された人心や山間を封じ込める為に建てられた団地棟か感染症隔離病棟。の。あの冷たい高いコンクリートの壁面のよう。
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