佐藤克巳

愛の渇きの佐藤克巳のレビュー・感想・評価

愛の渇き(1967年製作の映画)
5.0
美貌振りが頂点に達した浅丘ルリ子の亡き夫小高雄二未亡人が、無軌道な若い使用人石立鉄男に対する愛と葛藤を、象徴主義的でエロス香る映像表現で三島由紀夫原作に挑戦した蔵原惟繕監督の野心作は見事成功している。義父中村伸郎、義兄山内明も惑わしながら、危い豊中の上流家庭の内実からの脱出願望がパートカラーで見え隠れするなど、斬新な感覚は当時眼を見張った。なお、石立の活躍は「奥さまは18歳」以降だが、仲代達矢「火の鳥」デヴューに似た衝撃度を感じる熱演だったし、助監督藤田敏八の脚本参加も興味深い。
佐藤克巳

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