SANKOU

インクレディブル・ハルクのSANKOUのレビュー・感想・評価

インクレディブル・ハルク(2008年製作の映画)
3.0
美女とモンスターというのはいつの時代も画になるものだと思った。
この映画の主人公の場合、半分は人間なのだが。
冒頭からあまり経緯が説明されないまま物語は進んでいく。
どうやらこの映画の主人公ブルースは、放射線の実験の失敗によって半分モンスター化してしまい逃亡生活を送っていること、そして彼自身は体内に残留したガンマ線を除去して正常な身体に戻るために一人の科学者とコンタクトを取っていることが分かる。
追い詰められたブルースが心拍数の増加によりハルクというモンスターに変身する場面は、心踊らされる部分もあったが、どこか悲しさを帯びていたのが印象的だった。
望まずしてモンスターの力を手に入れてしまったブルース。
彼はアメリカに戻り、元同僚であり恋人でもあったベティの元にひっそりと姿を現す。
彼の人生を狂わせたのは彼女の父親でもある軍の司令官サディアスというのも皮肉なものだ。
軍は覚醒したハルクを攻撃するが、ブルースとしての意識はないもののハルクはベティを庇って逃走する。
雷雨の中でのハルクとベティの交流シーンは『キングコング』や『美女と野獣』を思わせるような印象的な画だった。
ブルースがハルクの力を消し去りたいと願うのに対して、精鋭部隊のブロンスキーは逆にハルクの力を得ようとする。
人間の中には一定数未知の力を手にして、世界を支配したいと考える者がいる。
ブルースの意志に反して、協力者のサミュエルまでもハルクの力を利用したいと考える。
残念ながらブルースの普通の人間に戻りたいという願いは叶わない。それはこの後にアヴェンジャーズとしてシリーズ化していくことからも明らかだが。
あくまでハルク誕生の秘密を描いた作品で、ドラマとしてはあまり深みのある作品ではなかった。
ハルクの動きもアニメーションっぽくて、ブルースの心の葛藤もあまり描かれていないために、感情移入もあまり出来なかった。
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