えいがドゥロヴァウ

トイ・ストーリー3のえいがドゥロヴァウのレビュー・感想・評価

トイ・ストーリー3(2010年製作の映画)
4.5
脚本のご都合主義的な面だとか
整合性だとか
そういう理屈っぽい部分を批評する視点は
おそらく映画を知っている人ほど
強く表出するものだとは思いますけれども
ピクサーの映画には完成された世界観があって
それはある種の絶対領域的なファンタジーの確立でもあると思うんですね
それはもうディズニーリゾートに訪れたらその夢の世界に浸りたいと感じる心の働きとまったく同一のものなのです
ツッコミも野暮だし、そういった冷めた視線がむしろ自らの充実感の妨げになると思えてしまうような…
端的に言ってしまえば、ミッキーの中に人などおらん!と思い込みたくなる心の作用なのですね

本作においてはシリーズの3作目とあって
大学生になった青年の幼少期に遊び親しんできたオモチャとの決別というのを
大人になるうえでの通過儀礼として据えると同時に
それらを捨てきれないパーソナルな愛着というモラトリアム的な心の機微をガッチリと掴んでいて
もうこれは成る程、最大公約数の観客に訴求できうる普遍的ともいえるテーマなわけなのですね
そこをバッチリと突いたピクサー、及びこの作品に対して
私は敬服をした次第でございます

何だか癪だったけれども本作は公開当時の年度のNo.1になってしまいました
仕方がないですね
夢中になれたのだから
むしろこういった作品を無条件で受け入れ愛せる自分自身を再評価してしまうような
ピュアな自分を再発見的な
何だかもう、幸福感しかないですよ
ありがとう、とただ感謝の気持ちが湧いてくるのです