『人類遺産』以外で初のニコラウス・ゲイハルター作品。チェルノブイリ原発事故についてのドキュメンタリー映画だ。"プリピャチ"とは、原発の横に流れている、かつては美しい自然に囲まれていた川の名前だそう。荒廃した"ゾーン"と呼ばれる汚染地域をモノクロ写真かのようなショット。ゾーン内に暮らす人々の不満や怒りをインタビューを通して感じるとともに、国から見放された存在である彼らの絶望は、日本の福島のそれとやっぱり似通っていると思った。映画としての温度は、自分が日本人というのもあるだろうけれど、小森瀬尾や大浦美蘭のように主観的な作品の方が好みだということも分かった。
