湿疹

怒りのキューバの湿疹のレビュー・感想・評価

怒りのキューバ(1964年製作の映画)
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その軌道が意志の運動であるところの血肉を持ったキャメラ 人が風を切って肩で怒るのだとしたら、怒れる肩の集合たる集団の意志はその量によって自分たちの速度で空間を切り拓くことができる 絶望で我を忘れサトウキビの畑の中で回転する農民の視界、ロトチェンコのような角度で建物を見上げる小さなものの視線、革命に急ぐ若者を見下ろす建物の視点、演説を見つめる集団の視線、これらすべてキューバという総体の意志の目である 連続的に爆発するような肉体的なこれらのショットすべてが圧巻で、どれがすごいということも憚られる 
冒頭のコロンブスら異邦人を集団の記憶へと導く海、都市のプール、貧乏な踊り子の家にアメリカ人がたどり着くまでに避けられない水たまり、コーラよりも喉を潤すサトウキビの水、体制に立ち向かう若者たちに銃として噴出されるも彼らの怒れる歩き姿をより洗ってしまうホースの水、のちのキューバとなる革命軍の若者たちが肩を組み歩く汚れた川、空爆から身を守る農民の母子をかくまう滝など、異様なキャメラワークの中で光る水そのものがなによりも素晴らしい 間違いなくカラトーゾフの最高傑作でしょう 

「私はキューバ 人は誕生と同時に二つの道を与えられます 義務と従属の道と 破滅へと導く明るい星の道 あなたは星を選ぶ その道は険しく血に染まっています でも正義のために一人が死ぬと 千人が後に続きます 人が死に絶えれば 石までもがあとに続きます」
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