菩薩

怒りのキューバの菩薩のレビュー・感想・評価

怒りのキューバ(1964年製作の映画)
4.9
とりあえず観る前に「この映画の面白さは超怒キューだからちょうど良くなんて考えじゃダメージを喰らう、覚悟せよ。」としたためておいたが、まさにその通りの結果となった。もしも君が一人なら迷わず飛んで行った方がいいし、もしも一人じゃ無いのならそいつも引き連れて万難を排して観に行った方が、なんせこの映画は宇宙で一番面白い。『鶴が翔んでゆく』のカメラワークを「疾走」と評するのであれば、本作のは「暴走」とでも言うべきか、撮影のセルゲイ・ウルセフスキーはおそらく腕の伸縮が自由自在に出来る戦闘タイプのナメック人、もしくはヨガ極めすぎた火吹くおっさんであろう、らららんどのあのシーンなど足元にも及ばん。確かにガチ切れキューバであり、怒りの矛先は勿論U.S.Aでしか無いわけだが、プロパガンダか芸術かなんて議論はもうどうでもいい、これは「怒り」の大勝利でしか無いと思う。だって今日本で『怒りの沖縄』なんて撮ってもこうはならないでしょ(そもそも撮れないでしょ?)ドキュメンタリー版の傑作が『チリの闘い』であるなら、それと同等のエネルギーをその半分程の尺に収めてしまった恐ろしき怪作、ただ今回上映版は短縮版らしいので多少減点をしておく、完全版を観せてくれ…。
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