上海十月

コミック雑誌なんかいらない!の上海十月のレビュー・感想・評価

4.0
1985年当時の事件を虚実混ぜ合わせると言う、今やるとあちこちからクレームと炎上が巻き起こる作品。当時でも問題作だが内田裕也だからしょうがないと言う感じがあったのも事実。デビューしたての麻生祐未が観れる。ほとんど、イメージビデオ扱い。(後に後悔したろうなぁ。)追われる側で取材対象者の内田裕也が「恐縮です!」と言いながら取材し、酷い目に遭うところがシュール。片桐はいりが当時の若さで独特の存在感があるのが凄い。片岡鶴太郎のアブラギッシュでプッツン5時代の顔と体つきが観れるのがレア。三浦和義が出演していて撮影中に逮捕でキッチリ画面に出てくる。世の中がバブル前夜の高揚感と何でもありな風潮が劇場型の人間を作り出してくる。そして後半の御巣鷹山も入りジャーナリズムとは?と言う問いかけをしていく。そして、ラストの豊田商事事件は、ビートたけしの鬼気迫る演技に呆然としてしまう。そして公開した年の1986年12月9日にフライデー襲撃とその後の出演者の半生を見ていても考え深い。フジテレビの関係番組や逸見正孝アナが頻繁に出てくるとことなど同時代のコネクトが絶妙である。この時にしかできない映画を内田裕也は、やってのけた。
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