別荘で休暇を過ごそうとしていた家族のもとに、2人の青年が訪ねてきたことから始まる不条理なサスペンススリラー。
リメイク版『ファニーゲームU.S.A』を先に観ていたけど、今作の展開とほぼ同じ。
ただ正直、ハリウッド版はナオミ・ワッツやティム・ロスといった有名俳優が出ているから娯楽映画感を比較的感じる。
オリジナルの今作は、『善き人のためのソナタ』のウルリッヒ・ミューエだけを辛うじて覚えていたけど他に知っている俳優はいない。
そのインディペンデント感がこの物語には合ってる気がする。
メタフィクション的演出は不気味さと滑稽さを煽り、予定調和的展開を悉く裏切っていくのはある種爽快でもある。
青年2人の背景や人物像は全く語られず、動機も不明なまま。
ただ"ファニーゲーム"をしたかっただけとしか思えない。
主人公側にまったく非はなく、教訓めいた設定や台詞もない。
徹底的な救いのなさと理不尽さが、暴力のかたちとしてかなりリアルで、なおかつクセになる。
劇伴はほとんどなく、ホラー的演出もなく淡々としているために余計に不気味。