しげのかいり

ALWAYS 三丁目の夕日のしげのかいりのレビュー・感想・評価

ALWAYS 三丁目の夕日(2005年製作の映画)
2.9
離れていること。遠くにいくことの映画。感動的な場面は必ず遠くへ行くことで生起される作品で、もっとも印象的なのは三浦友和演じる医者が戦争でいなくなった家族のために焼き鳥をかう夢のシーンだろう。警察に起こされた三浦友和はタヌキに食われた焼き鳥を見つめ、誰も待っていない家路につく。この作品を「昭和」を主題とした作品と見るべきではなく、離れることで近くにいた人間のありがたみを感じる作品ではなかろうか。子供が迷子になったシークエンス、金持ちに引き取られそうになるラスト、そして小雪演じるバーのママも遠くへ行く。それから手紙、写真や漫画、それからテレビといったギミックも遠くにいる人を感じさせるためのものとして非常に有効に使われている。ただ惜しいのはラストシーンでずっと喋っている点だろう。呼吸なくずっと喋り通しなので余韻がない。それがなければとても良い。