映画浪人

十二人の怒れる男の映画浪人のレビュー・感想・評価

十二人の怒れる男(1957年製作の映画)
5.0
本気で悩んでいる誰かにアドバイスするとき、親身になればなるほど、言葉を選ぶし、自分の助言が少しでも相手に影響を及ぼすのだと考えると、果たしてなんと言ってあげればいいかと途方に暮れることがある。アドバイスをするときでさえ悩むのだから、人の命運を選択するなんて、とてもじゃないが身が重すぎる。人間の要領を超えた域である。

しかしそんな損な役回りを与えられたのが、今作の男たちである。
男たちの議論を通して浮かび上がる性格や倫理観。情緒。
95分というコンパクトな尺の中に詰め込んだのが本当に凄い。

一人の男によって状況が一変するというシチュエーションも、今作に限っては当然の成り行きだと思うかもしれないが、ここまで重要な問題が誰か一人の思惑が伝染し、ガラッと変わってしまうのは本当に怖い展開だ。
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