よびちゃん

十二人の怒れる男のよびちゃんのレビュー・感想・評価

十二人の怒れる男(1957年製作の映画)
4.3
12人の陪審員たちが、父親を殺した容疑の少年について評決に達するまで一室で議論する様子を描く、シドニー・ルメット代表作の一つ。脚本家が陪審員を務めたことを機に書かれたらしい。密室での会話劇だが、話し合いで性格や事件の詳細が明らかになる巧みな脚本。歩き回る男や視線のやり取り、顔に迫るスリリングなカメラワークでアクションのように感じる。序盤は長回しで部屋を動き回り、中盤はトイレで少し展開に変化、終盤はそれぞれの顔。
11対1で死刑が有利の状況から、証言の不確かさを指摘して少しずつ無罪派が増えていく。声を聞いたと言うけど電車の音って大きいよね、15秒でそこまで歩けるかな、スラム出身という偏見があるのでは?ナイフの持ち方、眼鏡の有無。一つ一つ話してそれぞれの知識が合わさることで仲間が増えていく様子にわくわく。
「殺してやる!」「モウロクジジイだから」ほらね、そうなるでしょ?と言質を取るようにして味方につけるのが爽快だが、決して真実が明らかになるわけではなく、あくまで可能性の話。「無罪かもしれないじゃないか、じっくり話そう」のスタンスの重要性。
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