学生の頃(大昔)、年上のいとこが面白いと言っていた。この映画の翻案である「12人の優しい日本人」が上映された頃にそちらを先に観た。大変面白かった。
その後、いつか観ようと思っていたのを、ようやく観た。非常に感銘を受けた。
シーンはほぼ1つの会議室だけ。出演者はほとんど中年から老年の男性のみ。ある事件の被告が有罪か無罪かを陪審員がずっと審議するだけに終始する。
このような非常に地味なコンテンツでありながら、飽きさせることなくグイグイと一気見させる面白さ。もちろん、プロットが第一の要因である。
さらに、様々な職業、性格・タイプの12人が、うまくキャスティングされ、それぞれがとてもリアルに演じられているのも大きな魅力である。
現代は、表層だけを見た近視眼的な意見がバラ撒かれるSNSの時代である。先入観を捨て去って物事を捉えること、意見や立場の違う人の声を真摯に聴くことの重要性を描くこの映画が、今こそむしろ意味を持つと感じた。
冒頭に裁判所の正面に彫られた理念のような文面(建国の精神のようなことが書いてあると推察)が映る。アメリカの民主主義における良心を製作陣が訴えかけているのかもしれない。