このレビューはネタバレを含みます
サイレント時代のトリックスター、エリック・フォン・シュトロハイムの監督、脚本・主演の爛れた貴族の恋愛世界。
この映画は、そもそも、この後に彼が撮った『新婚旅行』と2部作の前半に当たりますが、残念ながら『新婚旅行』のフィルムはこの世から消失し鑑賞不能で、事実上、本作がシュトロハイムの最後の監督作になっている様です。
以下は物語。
騎馬隊の幹部ニッキ(シュトロハイム)はオーストリアの貴族だが家は火の車だった。パレードの日、騎馬隊を指揮するニッキは、見学している町娘ミッツィと花をやり取りする。ミッツィには肉屋の許嫁シャニが居て、シャニがミッツィと揉めて逮捕される。
ニッキはミッツィと火遊びを始めるが、ミッツィはニッキに本気になる。
一方、金に困っていたニッキの父に、足に障害のある娘を持った金持ちの男が、持参金付きで、ニッキの嫁に娘を頼みに来る。
釈放されたシャニはミッツィに力付くで関係を迫るが、彼女にはニッキが全て。
しかし、シャニがニッキの結婚の記事を見つける。
挙式の教会の前、新郎新婦を待つ馬車。拳銃を持ったシャニがいる。ニッキが出て来るが、ミッツィがシャニに撃つのを止めるなら、結婚しても良いと申し出る。新郎新婦を乗せた馬車が走り出す。
シュトロハイムは、単なる映画監督では無いトリックスターな点で異才であって、この映画でも『愚かなる妻』同様、主役の自分の軸に、ドロドロな恋愛世界が描かれています。
例えばウッディアレンや竹中直人の様な、俳優としての自分を軸に、独特の世界感を醸し出す方法を編み出した監督という評価もある気がします。