むるそー

いますぐ抱きしめたいのむるそーのレビュー・感想・評価

いますぐ抱きしめたい(1988年製作の映画)
4.8
王家衛の処女作。ギャングの世界の中でもがく若者の話。

粗削りなカットはブエノスアイレスの頃と比べると綺麗に纏まっているわけではないが、それが故に監督が表現したいものがストレートに伝わってきてグッとくる。主人公の感情とリンクして色や速度が変わる描写は表現主義的でそれだけでも大好き

アンディ・ラウ演じる主人公の格好良さはさることながら、弟分のジャッキーのダサさや人間臭さが本当に良くて、その屈折した感情に大共感しながら観ていた。プライドと現実の狭間に落ちたらその先には破滅しかないことは自明で、今作でもジャッキーは最後自分自身に落とし前をつける為に命を落とす。アンディがそれに続いてしまうのも、ジャッキーの中に昔の自分を見ていたからなんだろうな
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