きの

鬼畜のきののネタバレレビュー・内容・結末

鬼畜(1978年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

この行き詰った状況と向き合えない。

自分はどうしたいのか?
この状況を切り抜ける最適な手段は?
考えられないし決められない。

周りの人の顔色やその時々に感じる感情に自分を委ねて、場当たり的な、反射的な行動を積み重ねていく。

そんな中、ぼんやりと”殺す”という選択肢が浮かんできたりもする。
ちょっと考えればもっと選択肢があるのに。

何も考えられない、何も決められない、自分の人生に責任を取らない人間はどこにも居場所がなくなる。

自分が負っている自分の人生に誠実に向き合えている自信がない自分も鬼畜の予備軍だろう。

ラストの、親を捨てると心に決めた子どもの泣き顔よりも、自分が殺そうとした子どもに捨てられ傷ついた親の顔の方に自分自身を投影してしまう。



直前に野村芳太郎監督”砂の器”を観ていたので、同じ父と息子の旅でもその意味するものが違いすぎて、コントラストが面白かった。
きの

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