アーモンドフィッシュ

ある日どこかでのアーモンドフィッシュのレビュー・感想・評価

ある日どこかで(1980年製作の映画)
4.5
Twitterでフォロワーさんが熱く推していた映画で、メディアでも紹介されていたので、ついに観てみました。

キャストには、「スーパーマン」で知られるクリストファー・リーヴと、「007 死ぬのは奴らだ」でボンドガールを務めたジェーン・シーモア。先程書いたフォロワーさんはジェーン・シーモアの大ファンで、よく彼女についてのツイートをしています。

ストーリーは、劇作家のリチャードが目的もなく旅をしている最中、泊まったホテルの史料室で見つけた70年前の女優、エリーズ・マッケナの写真に夢中になるところから始まります。彼はその後、エリーズの過去を調査し、催眠術を使って自らを1912年にタイムスリップさせ、エリーズに会いに行く、という流れです。この映画はタイムスリップをテーマにしているものの、タイムマシーンや特殊なアイテムを使うわけではなく、リチャードが自分自身に催眠術をかけて過去へ行くというユニークなアプローチが採られています。そのため、「これはもしかしたらリチャードの妄想なのか?」という疑問も残されている点が興味深いです。また、タイムスリップものでよく見られるタイムパラドックスやジェネレーションギャップを引き起こすような要素はほとんど描かれていないんですよね。唯一描かれてるとしたら、懐中時計は結局誰のものなのかという点くらい。それ以外は、リチャードが70年前の世界に自然体で溶け込んでいるため、まるで彼の当てもない旅が続いているかのように感じられます。マネージャーのロビンソンもリチャードと同じように未来から来た人物と思わせる描写もありました。もしかしたらリチャード以外にもタイムスリップした人間はたくさんいるのではないか?そう思わせる描写でした。

リチャードがエリーズに対する執念は最初は少し怖かったんですが、よく考えたら歴史上の偉人を研究する人たちも、その研究対象に対して一種の「恋心」を抱いているのかもしれないですよね。そういった意味で、リチャードのエリーズに対する強烈な感情も、何ら不自然ではなく、むしろ人々が特定の対象に対して抱く深い愛情や興味と解釈できますね。

リチャードが未来から来たと一言も言っていないのに、エリーズは彼が未来人だと何となく感じ取り、彼を探し当てた点です。この点を振り返ると、エリーズもまたリチャードと同じくらいの執念を感じさせる存在でした。

ラストシーンはかなり辛くて、私にとっては明らかなバッドエンド。救いようがないように感じましたが、リチャード自身にとってはハッピーエンドだったのかもしれませんね。

時代を超えた愛が本当に切なくて、感動的でした。特にクリストファー・リーヴのその後の運命を考えると、さらに心に残るものがありました。ちなみに、クリストファー・リーヴってハリソン・フォードに似てるなと思いました(笑)