このレビューはネタバレを含みます
大分前に鑑賞。
中島哲也監督のセンスに脱帽しました。
カメラワークとスローの使い方、少し非現実的な加工が好きです。
BGMセンスが素晴らしい!
AKBを使ったシーンは残ります。
日常的な場面に挿入されて、非現実的なアイドルという輝かしい世界とが比較になり、そこのシーンにより現実感が増して重苦しさが産まれていました。
時計仕掛けのオレンジや園子温にもその敢えての選曲センスがありますが、この作品が中学生相手だった為に学生をテーマにしたAKBというアイドル、というのが良かったです。
小説は読んでないのですが、殆ど原作通りなのでは?と思う程、映画の魅力と小説的演出がマッチしていました。
映像が綺麗で綺麗で、虐めも吐くシーンも何もかもが美しい。
ストーリーは映像に頼りすぎず説明し過ぎず、長い台詞なのに一字一句怠惰せず聞けます。
松たか子の芝居力が凄まじいです。
淡々とした演技でここまで魅せられる女優は数少ないと思いました。
最後電話での台詞で、初めて感情が吹きこぼれる「ドッカーンてね!」のシーンが特にベストです。
中学生ならではの経験としての無知さと現実に対する甘い認識に恐怖を覚えます。経験は知識ではないと分かるのは、何かを失ってからですね。
本をいくら読んでも話を聞いても、実際に自分が怪我をしてみないと、痛みや治療法は分からない。
まさにそのことを痛感し苦悩する中学生を見れます。懐かしくもあり、変わらぬ今の自分も気づきます。
いつまでたっても分からないことばかりです。
中学生の教壇に立つ教師の方々は延々とあの一番面倒な年齢に向き合っているのかと思うと、本当に有り難いなと思いました。
自分の命と人の命、どっちが大切かなんて考えること自体可笑しい話ですね。
そんなこと考える暇ある中学生は、裕福な証拠です。日本は平和です。