胡麻新月

告白の胡麻新月のネタバレレビュー・内容・結末

告白(2010年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

初鑑賞。レビュー長くなっちゃいました。すみません。

松たか子さん演じる教師の、静かな復讐心の表現が視線を釘付けにしてくれました。

冒頭、クラスの騒がしい雰囲気の中で先生が淡々と話すシーンでは、先生の話は関係ない、早く休みになって、という中学生の心情が視覚的に伝わってくるようでした。

しかし話が進むうちに、普段の先生の話の中からは聞くことがないようなワードが出るとすぐ食いつく生徒の描写も良かったです。

そして犯人探しが始まり、自分たちの勝手な判断だけで犯人を見つけ、目の敵にする光景は馬鹿らしく、怖かったです。

誰かが流した勝手な情報に踊らされ、騒ぎ立てる様は現実でも起きていることで、中学生も大人も結局何も変わらないと考えると悲しくもあります。中学生がここまでやるのだろうか、という疑問も浮かんだものの、もしかしたら自分が無知なだけだったのかもしれません。

そして中盤、先生が去り、新たな教師が入ってきた場面は見るのが辛く、気持ち悪かったです。自分たちが普通にしていることができてなければ、仲間外れと見なし、排斥していく生徒たちは実に醜いと感じました。

終盤の先生の復讐劇は見ていて気持ちよかったです。犯人を自ら手にかけるのではなく、犯人自身の手で大切なものを破壊させる、というのは皮肉めいていて、滑稽でした。ただ、爆破シーンの演出に芸術性があったせいで、犯人の頭の中の光景なのか、でも母親が新聞を手に取ったなんて分からなくないか、とよく分からなくなってしまいました。

先生の「告白」だけでなくキーパーソンの「告白」を合わせることで、それぞれの人物の動機が明らかになり、前のシーンの内容が理解できるというのは、頭の中でストーリーをいちいち整理しないと見ることができない自分にとって分かりやすく、面白かったです。

見ていて「は?」と思ったことでも、数分後に「なるほど」とコロコロ考えが変わっていました。

今回少年Aがターゲットになっていたものの、Aに対して正義という形で卑劣な言葉や暴力を振るったクラスの生徒たちも、同罪ではないでしょうか。自分たちが目を背けたいがために「仮面」を被って、周りの目を気にしながら取り繕っていく。暴力も罪人を裁くとすれば、みんなからもてはやされる。そんな集団意識が本当に気持ち悪くて、中盤まともに見れなかった理由です。

Aはサイコパスのように描かれていたため、現実と特別視することができましたが、クラスの生徒は現実と特別感がなかったため、恐ろしいものに感じました。自分自身から目を逸らさず、立ち向かうべきと教えられたような気がします。

日本の役者さんのオーバーな演技はあまり好きではないけれど、今作ではそれが狂っていく様子とマッチしていて、違和感なく見ることができました。BGMが気に入らないことと、芸術性のあるシーンでその意味がわからなかったことで4.5にしておきます。

今回はこの辺で。最後まで読んでくださった皆様、有難う御座いました。
胡麻新月

胡麻新月