Keiko

告白のKeikoのネタバレレビュー・内容・結末

告白(2010年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

全編通してイメージカットや映像の比喩表現がかなり多くて、ミュージックビデオのような雰囲気を持つ映画。ただ、描かれる内容はその雰囲気の真逆で、人間の醜い部分を露骨にあぶり出している。

人間の命は重いかどうか。
当然重くて平等なものだけど、重さの感じ方は平等ではないと思う。
例えば、見ず知らずの他人が事故で死んだニュースをテレビで見るのと、自分の大切な人が死ぬのでは、感じ方が同じではない。平等に悲しむのには無理がある。

担任の娘の命、クラスメイトの命、全校生徒の命、そして自分の命さえも軽く見ていた修哉にとって、母の命は計り知れないほど重かった。
もはや彼にとっては母こそが世界の全てで、母のいない世界で生きる意味なんてないのかもしれない。そんな世界にしてしまったのは彼自身。でも、そんな人格に育ててしまったのは、修哉の母親だ。

森口先生の復讐は、悪魔に魂を売ってでも思いを晴らそうという執念を感じるけれど、クラスメイトたちの私刑はまったくの別物だった。
少年Aへのイジメに参加しないミヅホを罰する理由「森口先生が可哀想だと思わないの!?」が本作で最も恐ろしくリアリティのある台詞。
自分の行いを「正義」だと信じてイジメに加担する彼らの姿こそ、人間の本質だ。
現実にも、特にSNS上でそんな“正義感に溢れた人”がたくさん暴れている。

ああ、それにしても、命って厄介だ。
人間誰しも、“命の重さ”なんて、大切な人が死ぬまではピンとこないよね。
Keiko

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