ホリムベイ

道のホリムベイのレビュー・感想・評価

(1954年製作の映画)
4.0
名画は名画。観ると“楽しい”が教養より先にくるのが名画たる所以。
それはもちろん俳優、ザンパノ役のアンソニー・クインとジェルソミーナ役のジュリエッタ・マシーナ(フェリーニの妻)の魅力が大きい。俳優の力で、見ている画が(シーンより小さい単位で)何か大事なことが進行中なのだという気にさせる。

ハラハラやドキドキや謎解きをストーリーの駆動力に用いないのが、今とは違う脚本の考え方。それでいて、ずっと惹きつけられるているのは、観客はまるで同行者のように映画を観る立場として考えられているからでは?と思った。

フェリーニ最後のネオレアリズモ作品。ロケを多用し偶然性を排除しない(つまりその場のものをそのまま使う)ネオレアリズモの手法は当時とは違う力を50年以上たった現在に発揮していると思う。制作は1954年なので、およそ70年前の風景がそこにあるのだ。劇映画もフィクションのドキュメンタリーとして、ある種のドキュメント(現実)を定着させ届けられる。