先日、今年のアカデミー賞で作品賞を含め合計4部門にノミネートされた「最後の追跡」を観ました。
話がよく聞き取れないジェフ・ブリッジスが助演男優賞候補に挙がり、7度目のオスカー入りです。
全てノミネート止まりでしたが、渋くて西部テキサスの雰囲気が最高でカッコ良かったです。
クリス・パインとベン・フォスター演じる銀行強盗の兄弟と、彼らを追うジェフ演じる保安官をメインで描いた作品です。
「クレイジーハート」や「トゥルーグリット」でもそうでしたが、やはりジェフは、カウボーイハットがよく似合う。
正直この類の映画が、作品賞までいくとは思ってもみませんでした。
ゴールデングローブ賞でも作品賞にノミネートされたので、可能性が無くはなかったのですが...
決して嫌いではなかったです。
さて、本作も似たようなストーリーです。
舞台は違えど、本作も銀行強盗団を描いた作品です。
ボストンの郊外、チャールズタウンで暗躍する4人組の銀行強盗グループと、彼らを追うFBIが壮絶な死闘を繰り広げます。
ボストンと言えば、アメリカの名門でアイビーリーグの一つであるハーバード大学がある都市です。
その一方で、アイルランド系の人々が多く生活している地域です。
この街を扱った映画としては、ディカプリオ主演の作品賞受賞作「ディパーテッド」やショーン・ペンの「ミスティックリバー」等が思い浮かびます。
比較的治安の良いイメージを持たれている都市の一つですが、どうしてもクライム映画の舞台になることが多いので、自分の中ではそれに共感できないんです。
こういうのを観ていつも思うのは、子供は生まれた環境によって、その後大きく影響を受けてしまう、ということです。
かつてのメルボルンの銀行強盗団を扱った「アニマルキングダム」もそうでした。
親の代から継承された'シガラミ'の中でもがきながら育った子供は、かなり高い確率で親と同じ行く末を辿る...
悲しいかな、これが現実というものでしょう。
'自由の国'を掲げているアメリカでさえも、実際にはその影で、不条理な現状で苦しんでいる人々もいるんだな、と。
強盗団のリーダーで主人公のダグを演じるのは、「アルマゲドン」で有名なベン・アフレック。
ダグの旧友でグループのメンバー、ジェム役を演じたのは、ジェレミー・レナー。
「アベンジャーズ」シリーズの"ホークアイ"で知名度が上がりました。
個人的には、その前から注目していて、ディカプリオに次いで好きな俳優です。
ダグの恋人のクレアを演じたのは、「それでも恋するバルセロナ」のレベッカ・ホール。
他にも、「アデライン」で主役だったブレイク・ライヴリーやジョン・ハム、「アダプテーション」でアカデミー賞を受賞したクリス・クーパー等も出演しています。
本作に関しては、ベン・アフレックの働きを称えたいと思います。
なぜなら、主役だけではなく、監督も脚本も務めているから。
これの前作として、ベンの弟のケイシー・アフレックが主演を務めた「ゴーンベイビーゴーン」が監督としての第一作でした。
この映画がオスカーに絡んだことから、今作も評価高いんだろうな、と思って見始めたので、全く期待を裏切られることがなく満足のいくものでした。
この映画の後に、作品賞を受賞した「アルゴ」を撮ることになります。
この映画、もうこれまでに何回観たか分からないほど繰り返し観ており、今尚ベストムービーにランクインするほど好きな映画です。
まず、ジェレミー・レナーが出ているから。
前にも書きましたが、自分の中でトップ2,3位を争うレベルで好きです。
初めて彼を見たのは、キャスリン・ビグロー監督の「ハートロッカー」。
この映画で初の主演男優賞にノミネートされました。
本作での、活火山のように絶えず何かにブチキレている悪党ぶりには、ドン引き...
この演技が高く評価され本作でも、助演男優賞のノミニーに名前が挙がりました。
もちろん、演技が上手かったのは彼だけではありません‼︎
'絶望'と'希望'の間で揺れ動くレベッカや強引な突進型のFBI捜査官を演じたジョンもかなり良い線いってたと思います。
次にストーリーに無駄がなく、話の運びも巧妙です。
一つ一つの展開や出来事に違和感や矛盾が生じることがないので、観ていて「あれ、どういうこと⁇」ということがありませんでした。
やはり、話の繋ぎが意味不明なのは誰でも嫌ですよね〜
キャラクターの行動や心理が不自然なく描かれており、それぞれの意図が明確になっているのも嬉しい。
アクション・サスペンス映画として見ても、全く文句が出ないのも素晴らしい。
強盗シーンの度に起こる狂気に満ちた暴力描写は、マイケル・マンを彷彿させます。
ラストのクライマックスに向けて一気に加速していくハラハラの展開が、また何とも言えない気持ち良さ。
観客が期待するであろう正しい着地点に話の進路を向けつつも、あるタイミングで急に別方向にハンドルを切ったり。
最後まで先を読ませないストーリーは、本当にお見事。
これが、自分を一層洋画に夢中にさせる映画であった、と言っても過言ではないレベルで好きです。
この年には「インセプション」や「トイストーリー3」も公開されたので、若干目が向かなかったのかもしれませんが、まだ観たことないという方は、この機会に是非‼︎