警察とヤクザの癒着という深作映画おなじみの相互関係のなかで生きる男達の話。
今回の菅原文太は一味違い、単細胞な汚職警察。冒頭から、殴り込みに行くヤクザ達を止めるわけでもなく蹴るわ殴るわの暴れっぷり。挙げ句の果てには高そうなライターを奪い、自慢気に手でポンポン弄ぶ。そんな後ろ姿をバックにタイトルがどーんと出る。これはかっこいい。文太さんはたとえクズでもかっこいい。
そんなこんなでヤクザと仲良くやってる警察達のもとに、爽やかで清く正しい梅宮辰夫がやってくる。アホみたいに怖い顔で、爽やかに振る舞う辰兄の不気味さが物凄いアクセントになっている。爽やかポリスから、解脱したかのような体操おじさんへの転身まで目が離せない存在。
深作映画のおかげで辰兄のことが本当に好きになった。深作映画を観るまでは、辰兄と中尾彬の違いがよく分からず、捻じる側と拗らない側としてしか区別がつかなかったのに。
成田三樹夫の不健康な顔立ちや佇まいも、非常にカッコ良く。仁義なきファンとしては本当に楽しかった。
ヤクザ対警察という、毒対毒ともとれる泥試合は毒々しくも物悲しい結末になる。一人の男の人生つけられたひどく小さな結末が胸を突く。