Yoko

県警対組織暴力のYokoのレビュー・感想・評価

県警対組織暴力(1975年製作の映画)
3.6
二つの暴力団の抗争が絶えない西日本のとある地方都市の刑事”久能”。彼は暴力団の若頭”広谷”とは持ちつ持たれつの関係を結んでいた。
しかし本部より派遣された警部補”海田”の登場により、警察と暴力団とのバランスは崩れようとしていた…。

『仁義なき戦い』を否が応にも想起させるキャスト陣。
暴力団同士の抗争がメインであったあの作品に「警察」という第三者や民間企業や市議会議員を投入することで、より広いスケールの物語が楽しめる。
タイトルが『県警対暴力<団>」』ではなく『県警対<組織>暴力』という、一つの括りのワルからはみ出た広範なワル。
もう何でもアリなワルに対して県警もとにかくすごい。
しかし巨悪の組織構造を炙りだすという点では『悪い奴ほどよく眠る』ほどの力量を持ち合わせてはいなかった。
ただ、画面演出としてノワールタッチで描かれることがわずかにあったことは興味深い。

久能演じる菅原文太が発する暴力団顔負けの勢いは『仁義なき…』はおろか、おなじく警察サイドで登場した『太陽を盗んだ男』をも超えるかもしれない。
田中邦衛が演じるアンコ(刑務所内における男色関係の女役)がやたら様になっているのが非常に笑えた。
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