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アデュー・フィリピーヌのmareのレビュー・感想・評価

アデュー・フィリピーヌ(1962年製作の映画)
3.5
エリックロメールやギヨームブラックの源流であるバカンス映画の出発点。ジャックロジエのデビュー作にして幻のヌーヴェルヴァーグをようやく拝めた。初々しい煌めきと自由奔放に駆け回る2人の恋愛模様は嫉妬という影を落とし始める。しかしそれさえも何とも能天気に描き、この軽やかな彼女らの振る舞いは結末がどうであれ今を楽しむことに全霊だから非常に清々しい。バカンスは期限付きだからこそ永遠の輝きと目一杯の多幸感を宿すのだと感じる。時代背景としてアルジェリアへの徴兵が近い将来彼を待ち受けていることが、直視したくないリアリティの象徴として描かれていて、現実逃避の魔力が尽きるまでの色褪せない刹那としていっときの余韻を残す。
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