ししまる

隣人は静かに笑うのししまるのレビュー・感想・評価

隣人は静かに笑う(1999年製作の映画)
4.0
FBI捜査官だった妻を亡くし、大学でテロの歴史を教えるマイケルは隣人のオリバーが偽名だと気付き、身元を調査。少年時代に爆破テロ未遂事件を起こしていたことを突き止める。
90年代スリラーの傑作。多少BGMがおおげさだけど、25年前の作品ながら古さを感じさせず、点と点が徐々につながっていく展開に目が離せない。緊迫感も十分で、ジェフ・ブリッジスとティム・ロビンスの競演もみどころ。衝撃の結末は救いようがなく、とてもやりきれなくなる。
ただ一度見ただけでは完全に理解するのは難しい。原題は「Arlington Road」で、邦題が一見ナイスセンスのように思えるけど、邦題から想像するようなご近所スリラーではなく、かなり社会派のドラマ。背景を理解するには米国の90年代の右翼を巡る事情を分析する必要がある。
ちなみに日本ではレンタル禁止なんて風説が流布されているけど、放送も配信もされてる。少なくとも内容にそんな要素はなく、権利関係の問題かマーケティング上の判断では。
✅メモ
製作費3100万ドル、興行収入4110万ドル。90年代の右翼民兵組織を巡る動きや、95年の「オクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件」と、その引き金になったとされる92年の「ルビーリッジ事件」(世界の終末を生き延びようとアイダホ州の山中でひっそり暮らしていた一家と、連邦政府当局の間で誤解が重なって銃撃戦が起き、息子や妻と乳児が射殺された)、93年の「ウェーコ包囲」(最終戦争に備え武器を蓄えていたカルト教団の牧場でATFが捜索令状と逮捕状を執行しようとした時に激しい銃撃戦が勃発し、捜査官4人と信者6人が死亡。FBIが制圧に乗り出し、催涙ガス攻撃を開始した直後、建物から火の手が上がり、多数の幼児を含む76人が自決)をモチーフとしている。
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