HAYATO

大人は判ってくれないのHAYATOのレビュー・感想・評価

大人は判ってくれない(1959年製作の映画)
3.5
2024年299本目
わかってあげたい
カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞し、フランソワ・トリュフォーの名を一躍有名にした自身初の長編にして、当時の映画界に新風を巻き起こしたヌーヴェルヴァーグの代表的作品の1つ
パリの下町で暮らす少年・アントワーヌは、家庭でも学校でも自分の居場所を見つけることができず、息苦しい毎日を送っていた。やがて家を飛び出し、親友・ルネの家に隠れ住むようになったアントワーヌだったが、金に困り、父の会社のタイプライターを盗んだことから、少年鑑別所に送られることになり…。
12歳の少年を主人公に据えたフランソワ・トリュフォー監督の自伝的要素の強い作品で、トリュフォーは本作の後もジャン=ピエール・レオ演じる主人公・アントワーヌの成長を20年にわたって撮り続け、シリーズ5作目まで制作された。ジャンヌ・モロー、ジャン=クロード・ブリアリ、ジャック・ドゥミらトリュフォーと同時期に活躍したヌーヴェルヴァーグ仲間がカメオ出演している。
原題の「Les Quatre Cents Coups(400回の殴打、打撃)」は、フランス語の慣用句「faire les quatre cents coups(無分別、放埓な生活をおくる)」に由来する。
主人公のアントワーヌは、厳格で理解のない教師や冷淡な両親に抑圧され、家でも学校でも居場所を見つけることができず、次第に反抗的になっていく。ここで描かれる彼の反抗は、単なる反抗心というよりも、社会に対する深い孤独感や疎外感の表れ。大人たちが彼を「理解しない」ことが映画全体のテーマとして強調されている。
アントワーヌが海岸にたどり着くラストシーンは、海が自由と未知の可能性の象徴として映し出される。彼が海を前にして立ち尽く姿からは、孤独感と無力感、そして未来への不安が感じられた。
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