ぐりこ

まぼろしのぐりこのネタバレレビュー・内容・結末

まぼろし(2001年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

亡くなった夫を受け入れられない妻のまぼろしを見る生活。そこからの死の受け入れ、その後を5分描いて終わる映画。フランソワオゾン。

新しい恋人候補との出会い(&キスとセックス)が死の受け入れより手前にあるのが現実っぽい。そのあとで夫の母に会い、その後警察に行けて、やっと初めて夫の死を(言葉では拒否するが)心のなかでは受け入れて涙を流す主人公。
その後に主人公の心の立ち直りの兆候でも描かれるのかと思いきや、海辺に立つ夫の幻に駆けていくシーンで終わる。
主人公も海にのまれて死んだのか?それとも幻を見続ける精神病患者として生きるのか?それとも立ち直ったのか?鑑賞者に委ねられるが
わたしは1番目かなぁなんて思ってしまった。
この映画、愛の押し付けとしては描かれていないのがいい。これを至上の愛として描くのではなく、淡々とショックな出来事を受け入れられない妻として描かれている。
(自身の)死の受容の5段階というものがあるが、余命宣告など予期できる死の場合と、突然の死の場合は異なるなぁ。

夫、自殺だとしたらとんでもないレベルの失恋だよなぁ。
途中の挿入歌で、すでにその失恋の受け入れを感じて、それもある種の事実だろうし、受け入れて前に進もうとする心とそうできない心の葛藤が、淡々と、しかし見事に描かれている。

自分の講義中、誰かの文章を朗読していてハッと自身の状況に気付くシーン好き。
芸術が個人的な気付きをくれるときってあるよね〜

夫母(義母)の一見うまくいってそうで互いに皮肉言い合うシーン絶妙。嫁姑の確執、でもジャンを思う気持ちは共通で、なぜか分かり合える部分もあるという感じ。
ぐりこ

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