クリーム

まぼろしのクリームのレビュー・感想・評価

まぼろし(2001年製作の映画)
4.0
やっぱり、シャーロット·ランプリングって、素敵だなぁとしみじみ思う作品でした。これは、年齢を重ねた人の方が沁みると思う。ストーリーは単純だし普通だと思うけど、シャーロットが危なげに演じるので目が離せませんでした。ラストの海辺のシーン良かったです。この辺りは、余韻が残り解釈も人それぞれ違うんじゃないかと思います。面白かったです。

パリで暮らす、結婚25年の50代の熟年夫婦マリーとジャンは、別荘に出掛けます。マリーが浜辺で昼寝している間にジャンが忽然と消え、捜索するも発見する事は出来ず、マリーはパリでの生活に戻るのですが…。



ネタバレ↓



マリーは、パリに戻ってもジャンの幻影を作り出し、ジャンとの日常生活が続いているように暮らします。心配した親友のアマンダは、出版社を経営するヴァンサンを紹介、2人は仲良くなり、関係を持ちますが、夫の幻影と暮らすマリーには、ヴァンサンは不倫相手でしかありません。
そんなある日、ジャンの死体が上がり、確認に来て欲しいと警察から連絡があり、マリーはジャンの母に相談に行くと夫が鬱病で悩んでいた事を知る。自分の知らない事を夫の母が知っていた事がショックでした。
マリーは死体安置所で、ジャンの母とのDNA鑑定の結果や、歯型の一致により遺体はジャン断定されますが、腐敗した遺体をどうしても見ると言い張ります。そして、遺留品の時計が夫のモノではなく、死体も違う。私は妻だからわかると言う。
マリーはあの海岸へ行き、声をあげて泣きます。すると浜辺にジャンに似た男性の姿を見つけマリーは、彼の元に駆け寄るのでした。

シャーロットの演技にずっと圧倒され続ける映画でした。マリーは、夫が病んでいた事を薄々気付いていたと思う。恐らく見ない振りをしてやり過ごしていた。ジャンが亡くなっている事も解っているが、認めたら耐えられないのだろう。ジャンの幻影は、恐らくマリー自身が病み始めていて、マリーには本当に見えるんじゃないかと思った。だから、ラストも幻影なんじゃないかな?って、思った。そして、バッドエンド好きな私は、あのままマリーは、ジャンと海に入って行く様な気がした。良い映画でした。

※「貴方は重みが無いの」の破壊力は、凄かった。
クリーム

クリーム