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耳をすませばのmatchypotterのレビュー・感想・評価

耳をすませば(1995年製作の映画)
5.0
「なぁに、あんた、また、牛乳1パックでビニール袋ぉ?」
「だって、くれるんだもん」

はい、個人的ジブリベストムービー。近日中にまた観るけど、その次は『紅の豚』、かなー。

何回観たことか。この最初のやりとりがとても落ち着く日常。

この思春期と言うか、青春と言うか、可能性は無限なのにあえて視野を狭めてるような、何するにも不安だし、小っ恥ずかしいし、先が見えない感じがする、でも“今しかない”時。

でも、やる気ややり場のない悶々としたバイタリティはあり、その矛先を、身近に、異性に、そして自分や人の未来に求める。
求めるけど、知れば知るほど、やればやるほど自分がちっぽけでしょーもない存在な気がしてくる。でも、何かをしていたい。

この謎の循環を繰り返して何かを少しずつ拾っていく時ってあったな、と。でも拾ってたことなんてその時は気付いてもいなかったな、と。

そんな、何だかよくわからん時期を本当に青臭く、ドストレートに描いているこの作品が大好きだわ。

「嫌な奴!嫌な奴!!嫌な奴!!!」

この素直で真っ直ぐな気持ちは忘れてはいけないよね。ホント。何かを始めるのに遅すぎるってこともないんだよな、とか、やりたいことは最後までやり抜いてみたら良いよね、とこれを観るたびに、ちょっぴりアツい気持ちになる。

あのみんなでセッションするシーンとラストの2人乗りからの鉄塔は歴史に残る名シーン。

天沢聖司、最高に真っ直ぐでカッコいい。高橋一生、どハマり。声が彼だと知ってから天沢制と高橋一生が重なるけど、重なっても全然大丈夫なのがスゴい。

雫、たぶん、中学のクラスにいたら確実に好きになるであろう理想のタイプ。一見ボーイッシュなようで、完璧乙女。1つのことに没頭すると周りが見えなくなるこだわり突き詰めるタイプ。応援したくなる。
雫の父親の背中の押し方もまた絶妙。頼り甲斐がないようでこれほど雫をわかってる親がいることが彼女の宝だ。

とにかく、観てて色々ムズムズすることも含めて、何から何まで何回観ても心震えて温まる、勇気をくれる作品。

モデルの場所は聖蹟桜ヶ丘。
我が地元の目と鼻の先。学生時代、これ観てよく行ったなー。男たちで盛り上がって。それもある意味、我が青春か。まぁ今も割と近所。

あのクルッと一周してる丘の上のロータリー、実在してる。バロンと素敵な時計があるアンティークショップはないけど、店から飛び出して駆け下りる階段もある。
そして、あの鉄塔がある“俺の秘密の場所”、あれも実在、、、けど、私有地。入ったら怒られるんだけども、、、まぁその先は言わない。
その近くの丘の上にそっちは誰でも入れる公園があるんだけど、夜景がヤバい。これ観た温度そのままに行くと何やら叫びたくなる。

本当に自分にとっても色々思い出を作ってくれた素敵な映画。

青春って「ほろ苦い」とか「甘酸っぱい」とか言うけど、別に口の中でそんな味がしてるわけでもないのに、何でかそうそう、と納得できるのは何でなのか。。謎だ。
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