ボンド・ミーツ・ディザスター
映画を見て怖いなと思うこと。
見た時の年齢やタイミングもあるんだろうけれど僕には何度か経験があります。
ホラーとかそういうんじゃなくって、
「うわ、こんな状況自分だったらどうしよ。」
って自己投影してみたときに思わず恐怖してしまうような現実感。
これは僕にとってはまさしくそんな映画。
小6の僕が映画館で心に焼き付けた恐怖体験は、
大人になってみれば極上のエンターテイメント。
それでもやっぱり怖いよ。
美しい山々に囲まれたダンテズ・ピークに迫り来る巨大噴火の脅威。
地質学者が懸命にその危険性を訴えるが···
とりあえず、
ストーリー紹介に含みを持たせてみてはみたけれど、
火山が主役の映画でそれが噴火しないってのは、
ランボーがマシンガンを全然撃たないようなもんで、
そんなはずは絶対にありえない。
だからこそ、
序盤からもう噴火する気まんまんの雰囲気を漂わせて、
僕たち観客の不安を煽りまくる煽りまくる。
温泉でいちゃつくカップルの末路なんか、
ちょっとホラー映画なタッチだったりしてなんともショッキング。
度重なる地震と茶色く濁る水道水。
そういう、噴火を匂わす演出が適材適所に積み上げられて、
それがついに限界を迎えた時····
ってもう隠す必要はないですよね、
ドッカ~ン、噴火してしまいます。
そう、この映画の見せ場はこれからなんです。
町がカオスモードに突入するなか、
ピアース・ブロスナン扮する地質学者とリンダ・ハミルトン扮する町長が子供達を救いに無謀にも噴火する山に向かっていく。
って良く考えれば、
これ、ジェームズ・ボンドとサラ・コナーの組み合わせなんだ。
数々の絶望的シチュエーションをちょっぴり安心して見ていられるのって
この二人の抜群な安定感のおかげだったんだな。
うん、それでもね、
やはり湖でのシーンの恐ろしさが僕にはトラウマ級で、
あの状況に自分が陥ったらと思うとぞっとしてしまいます。
だってね、湖のど真ん中で···
あ~、怖い怖い。
そしてこの後も続く危機に次ぐ危機。
初見だとたぶん相当へとへとになると思いますよ。
というか、ハリウッドの自然災害物ってのはなんでこうもやたらと疲れてしまうのか。
息もつかせぬ天災の波状攻撃。
でも、それをエンタメに昇華してしまうんだから大したもんです。
作り手のサービス精神を、
心して受け止めないといけない。
そんな映画をと言われれば、
僕はこの映画に一票。
名シーンはブロスナンの腕立てシーン。
あのボンドが体鍛えとる!
って、そうやって彼をボンドというヒーローに見立てていないと怖くて見れなかったんだろうな、
若き日の僕は。
何とも思い出深い映画。