ぺろ

関の彌太ッぺのぺろのレビュー・感想・評価

関の彌太ッぺ(1963年製作の映画)
3.8
ちょうど長谷川伸原作x萬屋錦之介の一連の作品を見たいと思っていたら、不思議とタイミングよくスクリーンで見る機会に恵まれるのであった……ラピュタ阿佐ヶ谷にて。

瞼の母と同じく木馬館でやってるやつ…くらいのイメージだったけど、天保水滸伝のはじっこで起こっているお話だった(邦画あるある)。キップのいい気の良いあんちゃんな錦之介カッコいい〜と思って見てたら、十年後のやさぐれた姿に驚く…メイクはなんじゃこりゃだけど、根本的な人相の変わり方がすごい。

錦之介も良かったけど、個人的には木村功。調子のいいクズなんだけど、一瞬「手甲をつけようと逡巡する(諦めようとして諦められない)」シーンが挟まれるのが切ない。弥太郎の妹を看取った女郎さんも良かった。墓前で亡き妹に語りかける弥太郎をズームアウトしていくと、側で涙を拭う女郎さんがフレームインしてくるところなんかものすごくよかった。このシーン以外にも空をうまく使った画が印象に残る。決闘の場に向かう弥太郎の背中を移し続けるラスト、止め絵ではなくフェードで「終」なのもセンスがいいなぁ…

ベタに泣けるストーリーを完璧な演出で。過不足なく「ヤクザな人情モノ」がみたいと言う気持ちにピタリとハマる名作。こんなん泣いちゃうよ。
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