とぽとぽ

ジャック・ドゥミの少年期のとぽとぽのレビュー・感想・評価

ジャック・ドゥミの少年期(1991年製作の映画)
4.5
大きな映画愛と夫婦愛に包まれる
ジャコからジャックへ。タイトル通りジャック・ドゥミの少年時代の記憶を妻アニエス・ヴェルダが映画化した本作は、彼の子供時代がいかに後に彼の人生観や映画に影響を与えているか、作品の中で見られるかも、実際の作中の映像を交えて語る斬新・独特な語り口で、アニエス・ヴェルダ監督らしくフィクションの中にもドキュメンタリーが極めて曖昧に混在する、溶け合う。まるで一本のドキュメンタリー映画の中の視覚的に補うためのフィクションパートを見ているような。いや、実際にそうかもしれない。時折、撮影当時"現在"の彼の姿を接写する。時代の生き証人。映画人生の始まりとインタビュー映像、発想の秘密はまるでセルフパロディ。彼の作品の中で色もまた大事な要素なので、モノクロとカラーも使い分ける。
そうした私的な創作の出発点としては例えばトリュフォー監督の『大人は判ってくれない』など一連の「アントワーヌ・ドワネルの冒険」や、『ニュー・シネマ・パラダイス』に、今で言えばホドロフスキー監督の『リアリティのダンス』『エンドレス・ポエトリー』といった作品たちだろうか。そのどれもが力作傑作揃い。ここにも浜辺が出てくる。

悪魔が夜来る
性と数の一致
とぽとぽ

とぽとぽ