シャチ状球体

スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナスのシャチ状球体のレビュー・感想・評価

3.6
政治劇として見ればそこそこ面白いプリクエル・トリロジーの一作目。

毎回思うのは、EP1の時点で既に銀河帝国が作られる下地ができてること。共和国の議会はシスのダース・シディアスを止めるのに何の力も持たず、EP4で壊滅した元老院も、登場時点でいきなり通称連合の思惑を推察すらできていない。だから、どうしてこんなにジェダイ評議会が腐敗したのかがとても気になる……(『アコライト』が早く観たい!)。

グンガン関連の話は人種差別的なので普通に酷いとは思う。人間キャラは騎士道精神溢れるクワイ=ガン・ジンやまだ若くて超未熟なオビ=ワン等、オリジナル・トリロジーにはいなかったような立ち位置の魅力的な人物が大勢登場し、ダース・モール以外は無個性な悪役(シディアスと連絡を取っている2人の通商連合側のリーダー、毎回名前を覚えられない……)と比べると共和国側の層の厚さが目立つ。

白熱のポッドレースやライトセーバー戦、ジョン・ウィリアムズの新たなスコア、パドメとアナキンの出会い。
今でも新鮮なアクションや重要な展開もあったりしながら、この映画の一番良いところは時系列的にシークエルから一番遠いこと、悪いところは主人公不在の群像劇がうまく機能していないために世界観に入り込む余地がないこと……みたいなことを思うなどした。

複雑な政治辛味の陰謀が沢山動いているはずなのに、オビ=ワンたちが誰もそれに気付かないので人間ドラマ的な面白味に乏しく、最後も全然ハッピーエンドじゃないのに何だか消化不良に終わってしまい、続編ありきな姿勢に結構モヤモヤ……。
シャチ状球体

シャチ状球体