イチロヲ

番格ロックのイチロヲのレビュー・感想・評価

番格ロック(1973年製作の映画)
4.0
池袋の非行少女を統べている女番長(山内えみ子)が、感化院で知り合った敵対組織の番長(柴田鋭子)に憧憬心と敵対心の両方を抱いていく。非行少女グループの生態を描いている、東映ピンキー・バイオレンス。東京撮影所製作。

題名にある「番格」とは、舎弟に守護されることなく、堂々と先陣を切っていく総番をさす言葉。ふたつのスケバン組織がしのぎを削り合う最中に、鹿内孝率いる暴力団が不当に介入する、というパターンを踏襲している。

とにかく、山内えみ子と柴田鋭子の眼力が強烈であり、顔面の接写映像に「怖いけれど目が離せない」という、挑発的な色香が備わっている。ライバル同士のキャット・ファイトがあっさり気味だが、その後の主人公の葛藤劇が見応え満点。

陰性の幸福感と躍動感が全編に漲っており、池玲子、杉本美樹が不在のスケバンものとしては上位クラスといえる。ただし、特別出演者であるキャロルの諸事情により、映像のソフト化が難航。東映チャンネルか名画座でしか鑑賞の術がない。
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