なすび

ホーム・スイート・ホームのなすびのレビュー・感想・評価

ホーム・スイート・ホーム(1914年製作の映画)
4.0
最後の天女リリアン・ギッシュにぎゅっと心を鷲掴みにされた…これだけで五兆点。泣。すき。私のお葬式ではあの映像流してください。

この前ケヴィン・ブラウンロウの『サイレント映画の黄金時代』という本を読んだので、グリフィスについて書かれたところのお気に入りをここにのせます


D.W.グリフィスは"映画におけるシェイクスピア"と呼ばれているが、より多く共通点を見いだせるのはチャールズ・ディケンズである。現実感の横溢する舞台背景に展開するメロドラマ、誇張されてはいながらも真実味あふれる登場人物、細部へのこだわり、衣類や立ち居振る舞いの正確さ、感傷性、宗教観、社会の不正に対する憤り、こういったことはすべて両者の作品に通底する。ひょっとしたらグリフィスがディケンズから学んだ最も重要なことは、アクションから別のアクションへの転換の妙かもしれないー並行編集(パラレルカッティング)のように映画に究極的なダイナミズムを付与した技法などがそれにあたる。

「私は初心者を好む傾向にある」と、女優に何を求めるかを質問されてグリフィスは答えている。「初心者はいわゆる演技術や、演技理論など先入観にとらわれていない。できれば自力で生活している若い女性、欲をいえば母親の面倒を見ているというようなのがいい。そういう女性は生活の必要上、必死に働かざるをえない。それと神経質なタイプがいい。面接をしていてどこかに神経質なところが見える女性でなければ私は雇わない。平然と落ち着き払っている女性は想像力に欠けるものだ。

「自我を表現できるのは文筆家だけである」と彼は語っている。「映画監督にはできない。というのも、監督は大衆に楽しんでもらわなければならないからだ。監督には意見を扱うことができない。私たちにできるのは小さな物語(ロマンス)をできる限り心地よい模様に織り上げることだけだ」
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