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荒野のストレンジャーのmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

荒野のストレンジャー(1972年製作の映画)
3.3
「恐怖のメロディ」に続きクリント・イーストウッドが監督・主演した第2作。
原題:High Plains Drifter(1973)

鉱山によって成り立っている町ラーゴ。
かつて、鉱山会社が雇った無法者3人が保安官を鞭で滅多打ちにして殺したが、住人はそれを黙って傍観していた。
3人は逮捕されたが、一年の刑期を終え(?)、ラーゴの町に落とし前を付けにやってくるので、町(町長、鉱山会社の社長、保安官、ホテルの経営者など)は3人のならず者を雇っていた。
そんな時、かげろうの中から、正体不明の流れ者(ストレンジャー)がやってきて、からんできた3人のならず者を一瞬で撃ち殺す。
用心棒を殺された町は流れ者に「何でも言う事をきく」からと防衛の指揮を頼む。
引き受けた流れ者は、好き勝手な行動を取り、防衛体制を敷いていよいよ迎え撃つ段階になると、小人を保安官に任命し、指揮を任せてどこかへ去っていく。
途端に町の連中は臆病風に襲われる…。

「墓標なくば、鎮魂なし。町の皆は彼の魂の復讐を恐れてる」

「お前は誰だ(何者だ)」

「あんたの名前を聞いてなかったね
    知っているはずさ」

「MARSHAL JIM DANCAN
  LEST IN PEACE」
(マーシャル保安官 ここに眠る)

惨殺された元保安官の魂が復讐する相手(もの)は、殺した無法者だけでなく、臆病で人任せで行動力のない町の住民たち(が持つ薄っぺらい道徳や宗教心)で、殺された保安官と流れ者との関係は最後まで明らかにされないミステリアスな復讐劇になっている。
なお、かつて女性の映画評論家(誰か忘れた)が、キネマ旬報に"クリント・イーストウッドの映画における女性の描かれ方が好きではない"旨のコメントを載せていたことを、この作品を見て思い出した。
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