ダミアン君に恋してる

キラーハンドのダミアン君に恋してるのレビュー・感想・評価

キラーハンド(1981年製作の映画)
4.6
不慮の事故で切断されたはずの右手が勝手に殺人を繰り返す怪奇ホラー☆

……ココココ怖怖怖かった゛~!!!!!

これは夢に出そう。まるで本当に幽霊を目撃してしまったかのような放心状態。本編にはいっさい幽霊なんか出て来ないのに。

この怖さは異常だわ…
日本の怪談のような趣さえある。

暗闇×雷鳴の効果もあるのかもだけど、隠れ潜む異怪な生き物に殺されるかもしれないっていう心理的恐怖が常にあって、これが途切れることが無い。じわじわと覆いかぶさってきて何処にも逃げられない。

マイケル・ケイン様の怪演も実にお見事。演出よりも演技の質で怖がらせてくれる凄さには恐れ入った。背筋も凍るシーンの数々。それらを見てしまうと私の中の彼のイメージがこの役で定着してしまいそう。それだけ強烈なインパクトが脳裏に焼きつく。
特に、静止画が少しずつめくられていくようにゆっくりと表情の変化を感じられるあの異様なシーンは思い返すだけでもゾッとしてしまう。

古典的な作風により引き立てられた恐怖の世界へと誘導される気味の悪さ。

ちぎれた自分の右手が地面を這いずり回って人の首根っこを掴み、強力に締めつけ息の根を止める。音もなく忍び寄ってきてその存在にすら気づかない。いつもならシュールで通っちゃうそれも、本作にはシュールと一言で言わせない特質がある。

主人公と右手の関係が敵か味方か分からない所も怖い。潜在意識の中、細胞レベルで繋がり合って死してもなお蘇るゾンビのよう。

自己意識が自分なのか、はたまたもう一人の自分の方なのか。現実と幻覚の境目をあやふやにするといった心理ホラー特有の面白さを存分に描けていると思う。

ふと感じる事。

私が本作を見つけたというより、"本作のほうが私を見つけた"んじゃないか…と思えてならない…

ほんと気が狂いそうになる。こういう怖さは他の映画では味わったことが無い。暗闇に怯える心理状態を久しぶりに体感できた。

もっと認知されるべき希少価値のある怪作!!

*☆Keyword*☆
『Hand Puppet Creeper』