ダメハム

ザ・コーヴのダメハムのレビュー・感想・評価

ザ・コーヴ(2009年製作の映画)
1.0
まず事前知識が多少あったので、劇中に出てくる根拠が全く裏付けされてないのが分かっていたから、最後まで信用して見ることができなかった。でも、優秀なプロパガンダ映画ではあるね。作為的な演出と編集の巧妙さに本当に感心してしまう。けど、マイケル・ムーアほどの余裕さは全く感じない。

しきりにイルカはとても知的で人間より高尚な生物とか言ってたのには参ったね。イルカ漁を見て、むごいなあ、かわいそうだなあとは思うけど、それはイルカだけじゃなくて、牛や豚や鳥の屠殺を見ても全く同じように感じるのがごく当たり前の感情。この演出は本当に巧妙。

そして、いかにも太地町では年間何万頭ものイルカを捕っているみたいな描かれ方してるけど、実際は1500~2000頭程度らしい。何ともひどい印象操作。ドキュメンタリー映画が製作者側の主観的なものが込められてるのは分かるけど、ここまで相手側の主張をないがしろにする作品も珍しい。

この映画の一番怖いところは、巧みに論点をずらして論理性の欠けた反証を挙げた上で、こんなにも愛らしいイルカを残酷に殺してかわいそうだと視聴者の情緒に訴えて同情を誘い、それが成功していること。今一度、人間が何を食べて生きているのかを思い出してほしい。
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