菩薩

アフリカの光の菩薩のレビュー・感想・評価

アフリカの光(1975年製作の映画)
4.8
誰一人情緒が安定していないし、欲求不満に満ち満ちていて、全員笑いながら人を殴っても、笑いながら人に殴られても、それがどうしたと更にヘラヘラとしている。二人が頑なにアフリカの光を目指す理由も最後まで明かされず、病に倒れた田中邦衛が戦線を離脱して以降は更に哀愁がスクリーンを支配するが、最後まで暴力性が失われる事は無い。ただ訳もなく持て余したバイタリティの捌け口は、意味もなく振り下ろされる拳と突き上げる逸物に集約される。男色めいた二人の関係性、一連托生の間柄の終焉を告げるお漏らし、糸の切れた凧は拳を燃やされマストに登り「俺はおかまのカモメだ」と叫び声を上げる。くちゃりくちゃりと噛まれるガムの音、粘り気の口移し、放たれた精はくしゃくしゃの紙幣が包み込み、溜め込んだ一円玉で狂犬は旅に出る。意味など何も分からないがただひたすら圧倒、凍死体を見つけてとりあえず乳揉むショーケンに泣く。
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