半兵衛

アフリカの光の半兵衛のレビュー・感想・評価

アフリカの光(1975年製作の映画)
4.4
いきなりだがこの映画は何回か見ないと理解できない、噛めば噛むほど味の出るスルメみたいな映画だと思う。私も初めて見たときはアドリブ全開の演技、アフレコ感丸出しの会話、遊んでいるカメラワーク、笑顔で暴力を振るうテンションのおかしい登場人物、ホモチックな主人公二人(ショーケンと田中邦衛)の変なやりとりに呆れたまま映画を見終える。
しかし二回目、改めてみるとヘラヘラしているように見えて心に闇を背負ったショーケンの青年(女性との性的行為が下手なのも象徴的)が逃げたら終わりという焦燥感からアフリカへの渡航という、大したことの無い、しかしその行為をやったら何か変わるかもという微かな期待のある夢を実行しようとするというのが理解できてくる。
しかしその結果土地の人たちからは迫害され、自分に憧れている少女には何も出来ず、相棒の田中邦衛と別れる羽目になり、そして終いには土地を追われる。最後のシーンの漁師たちの前でカモメの真似をするシーンは、一見するとふざけているが実は夢に挫折した男の道化になって生きるしかない男の虚しい心情が神代辰巳の70年代の挫折感漂う演出と浮かび上がる。あとショーケンの細かい演技が見れば見るほど理解できてくる、はず(例えばやくざに美人局にあったときの顔)。
ショーケンが憧れていた「真夜中のカーボーイ」に近づいた映画、なのかも
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