半兵衛

大雷雨の半兵衛のレビュー・感想・評価

大雷雨(1941年製作の映画)
4.0
ウォルシュが男二人女一人による三角関係のメロドラマを手掛けたらやはり過剰なアクション映画に。主人公たちが勤める電力会社は荒っぽくて常に下品な冗談ばかり交わしすぐに喧嘩もするけれど電線修理という仕事には命を張るという男臭い社会で主人公であるエドワード・G・ロビンソンは下卑で暴力的だけれど心優しくて誰よりも頼れるあらくれ男を見事に体現して君臨する。でもだからこそ肝心の女性との付き合いが下手くそで、妻であるディートリッヒが友人であるジョージ・ラフトに恋する様子に全く気づかない鈍感ぷりとそれでも甲斐甲斐しく妻に尽くす姿に切なくなり、そしてそれが発覚してからの暴走に心苦しくなった。

主役はもとより脇役にいたるまでみな下品だけど気の良い個性的なキャラクターを好演しており、そのせいかいつものウォルシュ作品よりも生き生きとした雰囲気を強く感じた。そんな奴らが繰り出すギャグも絶好調で、なかでも食堂でのプロの芸人でもあれだけ返せるのは難しいのではと思える大喜利大会に爆笑。そしてそんな監督好みの荒々しい世界で一際輝くディートリッヒ(今回は普通の女性で、なんと料理を作る場面も)。

冒頭と終盤での、複数の男たちが黒いレインコートを身に纏っての雨中の電線修理が異様な迫力を醸し出してその死と生がギリギリで存在する危うさにハラハラさせられる。そんな緊張感のあるなかで我を見失い一人暴れまわるロビンソンのやりきれなさ、そこからの無惨な三角関係の崩壊とそれを敢えて優しく受け止めるロビンソンによる結末にグッと来る。

ロビンソンとジョージ・ラフトの対比も効いていた。
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