ちぇるごまる

君のためなら千回でものちぇるごまるのレビュー・感想・評価

君のためなら千回でも(2007年製作の映画)
4.2
タイトルが気になり、予備知識がないまま鑑賞。

アフガニスタンの首都カブール出身でアメリカ在住の小説家に懐かしい相手から「戻って来て欲しい」と電話が入る。
電話の相手は彼が子どもの頃に頻繁に家に訪れていた父の友人。
それがきっかけとなり主人公は子どもの頃の遠い記憶を回想していく…。
彼はお金持ちの父子家庭の息子で、幼馴染である年下の使用人の息子とは、いつも一緒に仲良く遊んでいた。
頭は良いが臆病な主人公と字の読み書きさえ出来ないが主人公を慕い素直で優しい1つ年下のその少年は、立場は違えど唯一無二の親友。
だが、凧揚げ大会の日の悲しい出来事がきっかけで、主人公は混乱し嘘をつき保身すべくその少年を突き放し、そして窃盗の罪を負わせ少年とはそれっきりに。
やがて戦争が勃発し、主人公は父とともにアメリカに亡命。
成長し、大学を卒業。
結婚、そして父の死。
様々な経験をし、小説家として成功した彼。
そんな時に受けた冒頭の1本の電話。
父の友人と20数年振りに再会し聞かされた知られざる真実から、過去を贖罪するかのように主人公は危険なカブールへ向かい使命を果たすのだった。

アフガニスタンというと、その情勢からか暗く危険なイメージだったが、昔からそうだったわけではなく子どもたちが生き生きと暮らしていた時代もあったと知った。
凧揚げ大会のシーンは童心に帰ったかのように胸が躍ったが、一方で、少年への性暴力や女装させ舞踊をさせる等、屈辱的で辛いと感じたシーンもあった。
ジャケ写からほのぼのとした田舎に住む少年たちの単純な友情を描いた作品だろうと思い込んでいたが、観てみるとそれは全然違うもので驚きの連続だった。
2人の少年の長きに渡る友情…「君のためなら千回でも」という台詞に込められた深い想いが切なく涙が溢れた。
戦争・支配・格差社会・性暴力・家族・友情等様々なテーマを上手に盛り込み、観る側に平和への祈りを訴えてくるかのような作品。
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