ゆえん

アメリカン・ビューティーのゆえんのレビュー・感想・評価

アメリカン・ビューティー(1999年製作の映画)
3.7
外面は整えているけど、自分が一番色々耐えて大変だ、と登場人物全員が思っていそうで痺れる。
それぞれの立場や心境はある意味めちゃくちゃオーディナリーで大きな起伏もあまりない中でこんなにもドラマティックに展開するなんて面白すぎる。


どうしてもクィアバイアスが掛かる脳みそなので、リッキー父のセクシュアリティに思いを馳せてならない。
退役後もなお自分の名前に「大佐」を付けて、息子にもSirと呼ばせて、男はアグレッシブで妻をコントロールすべきかのような口ぶりで、さらに極端なほどにゲイを嫌い存在すら許さないような態度はどう考えても自分の中のヘテロノーマティブ思想&ホモフォビアと自身のゲイセクシュアル欲求の板挟みに苦しんでいるとしか思えない。
最後の彼の行動の理由も想像するに余りある。
よく見聞きする状況だから、意固地にならず自分を許してあげてほしかった。
“ゲイを恥じない時代なんですよ”
リッキーもなんとなく勘付いてたのかな…
切ない。
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