がちゃん

アメリカン・ビューティーのがちゃんのレビュー・感想・評価

アメリカン・ビューティー(1999年製作の映画)
3.9
最近スキャンダラスな話題でお騒がせの・ケヴィン・スペイシーが主演した風変わりな家庭崩壊ドラマ。
第72回アカデミー作品賞を受賞しています。

ストーリー自体はそんなに奇抜なものではない。しかしオープニングの主人公レスターのモノローグで自分の死を予告してから始まるので、物語が進むにつれて妙な緊迫感が漂う。

性に関する大胆なスラングが連発され、アメリカの家庭生活のタブーが描かれているのは風俗的に面白い。

タイトルになっている『アメリカン・ビューティー』とはアメリカ原産のバラの品種名であるらしいのですが、たびたび現れるこの赤いバラが物語の象徴となっているのもうまいところです。

家族三人での夕食シーンは静かなクライマックスで、舞台劇を観ているような雰囲気がある。

主人公レスターを演じるケヴィン・スペイシーはなかなかうまく演じていると思う。
これが、ロバート・デ・ニーロならくどいし、ロビン・ウィリアムスじゃファンタジィ―色が強くなりすぎてこの作品の持つ毒が消えてしまいますね。
オスカー受賞も納得です。

それから断然いいのは、レスターが夢中になる小悪魔的美少女・アンジェラ。

レスターはいけない妄想に突き進むのですが、ミーナ・スヴァーリ演じるこの少女に夢中になるのはわかります。彼女が演じていることによって物語に作り物感というか嘘っぽさがなくなった。
若い頃のジョディー・フォスターを思い出しますね。

ストーカー的気質をを持った娘の彼氏のビデオカメラのズームを使ってのサスペンスの醸造も見ごたえあります。

なにか希望を持たせるようなバッド・エンド。
独特の余韻を残します。
同じ家庭崩壊物でオスカーを受賞した『普通の人々』(1980)から時代も変わったなあと深く感じました。

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