このレビューはネタバレを含みます
07/15/2020
これは予想以上に、よかった…!
思ったよりコメディじゃん、と思ってみていたけど、後半サスペンスに。
レスターとアンジェラの話かと思ってたら、全然そんなことなかったね。
「アメリカン・ビューティ」が意味するとされているもの… 仕事での一定の成功、郊外に一軒家を持ち核家族と住む、良い家具(シルクのソファー!)、車を保有する…
「I am an ordinary man who has nothing to lose」だったレスターが、別の意味で自由になっていくところは、みていて正直気持ちよかった。アンジェラはあくまでも引き金だし、そのあとの行動も「一歩間違えた」のだとは私は思わない。それまで「アメリカン・ビューティ」という幻想の中にいようとしていたことこそが、不幸の源泉だったのだから。
私の解釈だと、この映画のわかりやすいところは、出てくる3人の子供と、大人の間ではっきりと線がひかれているところ。
Ordinary になりたくないというアンジェラや、社会の「ちゃんとしてる子」からはかけ離れていて「ちゃんとしてる子と思われたい」とすら思っていないリッキー。盗撮していて怖いとはじめ思ったけれど、そうやって周りのBeautyを記録し、それを忘れたくないと話すリッキーに、どうしても自分を重ねてしまったし、ビニール袋が舞う映像には私もひきこまれた。
ジェーンの服装やメイクがあまりにも好みだった。
「Is Jane happy?」と聞くレスター。
最後にレスターを殺すのが、キャロリンではなくて、(多分ゲイであろう)リッキーの父親というのが皮肉的。リッキーの父親はまた、典型的な保守的な「(幻想の)アメリカン・ビューティ」を表している。たくさんの銃をコレクションしていて、家父長制タラタラ。