くりふ

サイレント・パートナーのくりふのレビュー・感想・評価

サイレント・パートナー(1978年製作の映画)
4.0
【沈黙の共犯者】

ツタヤ発掘良品にて。これは10代の頃、偶然TV放映でみて地味ながらエラく面白く翌日、クラスの友達と弁当食いながらあーだこーだ盛り上がった記憶があります。

カナダ産、ちょいと猟奇風味も混じる騙し合いサスペンス。『紙の月』と同じ、銀行員による横領のお話し。

が、こちらの主人公、エリオット・グールド演じる出納係マイルズは、銀行から直接横領するわけじゃない。巧いこと考えたものですが、自分の銀行を狙うある犯罪行為を察知し、まんまと便乗しようとする。

腹黒き漁夫の利。熱帯魚が友達の地味な男は、実はキレ者だった。…小狡いからちょっと、笑っちゃうのですが。

…ところが。

彼の前に現れるのが、怪しきクリストファー・プラマー。こいつもキレ者だが、キレると止まらない。

地味な出納係と、ダンディーな変態による攻防戦がはじまり…これがなかなか、引っ張る!

マイルズが想いを寄せる同僚にスザンナ・ヨーク。しかし、マイルズ横領の動機にもなっている、ワケアリ。

スザンナさん、同年『スーパーマン』でスーパー母ちゃん役やってるし、ヒロインとしてはお歳的にはいやあのその…ですが、ちゃんとおっぱい出していて頭が下がりますね。その女優魂に、別の部位の頭は上げないといけません…何の話だ。

ラストのちゃっかりぶりは笑っちゃいますが、熟女ならではの計算でしょうか。銀行員だしね。…計算ミスしてると思うんだけどね。

スザンナさんでは別の部位の頭は上がらない…という殿方のためにか後半、峰不二子的な動きをする、ラテン系あやしい女が加わります。このセリーヌ・ロメスさん、あまり華がないがセクスィ担当としては充分。

ベッドから事後での仕草がリアルだったり。フルヌードのシルエットがとても綺麗。この美しさが、終盤の悲劇とのギャップになっており生々しい。彼女も小狡くて、それが招いちゃったよね…と色々考えさせられます。

小狡さの攻防は、あっけなくも丸く収まる結末に雪崩れ込みますが、これはハッピーエンドではないでしょう。あの二人の精神的破綻は目に見えています。

…と受け取るのが健康的な視点でしょうが(笑)、実際は一生、腹が黒いまま貫き通せるものかもしれない。その方がずっと、人間ってコワイわ、ということになりますね。

全体、賞味期限はキレ気味ではあるものの、語り口の巧さは今でも充分、通じると思った。

これは、役者さんがいいのは勿論ですがその前に、脚本担当カーティス・ハンソンの功績がまずは大きいのかな、と感じましたね。

<2015.3.30記>
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