このレビューはネタバレを含みます
とにかくひたすらにノスタルジックでファンタジー。嫌いじゃないんだよなあ。
登場人物はみんな地面から少しだけ浮き上がっているような地に足のついていないフワフワとした人ばかり。奈々津だけが現実と繋がっている人物。主人公との恋物語はそれほどはっきりとしたわけでもなくこれまたフワフワとしているが、最後に少しほんわかとさせられる。原作にあった、どこかにありそうだけどどこにもない町、そこで暮らす人々という雰囲気をうまく醸し出している。
人物もいいが、なんといっても魅力的なのは舞台となった函館の街並みと建物や小道具、衣装など。ちょっと過剰なまでにファンタスティックなノスタルジーを喚起する。ある意味で主役は俳優ではなく、彼らを取り巻く舞台としての街そのものではないかとさえ思えてくる。
レストランやアパートはセットなのだろうか? もしあんなレストランが本当に有るのなら行ってみたい、と思ってググったら、
映画『つむじ風食堂の夜』(2009)のロケ地巡り
https://haloviim.amebaownd.com/posts/2506004
こちらのページを見るとすべてロケで撮影されたようだ。また函館行きたいな。
余談だが、函館が舞台のファンタジックでノスタルジックな映画、となれば、あがた森魚が出てないのが不思議。なにか大人の事情なのか、はまたま単なるすれ違いか。下條アトムの帽子屋もよかったけれど、あがた森魚もぴったりだと思うんだよなあ。